一般不妊治療・体外受精・顕微授精 西山産婦人科不妊治療センター

院長 西山幸江(生殖医療専門医・臨床遺伝専門医)
名誉院長 西山幸男(生殖医療専門医)

調節卵巣刺激

調節卵巣刺激

調節卵巣刺激

調節卵巣刺激の目的

高度生殖医療では、採卵に向けて、卵胞を育てるホルモン剤を使って、成熟した卵子が排卵するように手助けします。排卵促進剤には内服薬と注射剤がありますが、当院では、患者様の個人差に合わせて、体に無理な負担をかけない必要最小限のホルモン剤による調節卵巣刺激を行っています。また、採卵の時期をコントロールするために、自然排卵を抑えるホルモン剤や、的確に排卵を起こすホルモン剤などを使用します。

よく使われるホルモン剤の種類と働き
クロミフェン 製品名はクロミッドで、飲み薬です。副作用の少ない排卵促進剤です。クロミフェンには脳に働きかけてFSH(卵胞刺激ホルモン)を分泌させ、卵子を発育させる作用があります。
HMG・FSH ともに注射剤で、直接卵巣を刺激して卵子を発育させる作用があります。HMG製剤にはフォリルモンP、フェリング、HMGフジなどがあります。FSH製剤は主にリコンビナントFSHが使われます。患者様の個人差に合わせて、種類や量、間隔を調節しながら使われます。 
HCG 注射剤で、製品名にはHCGフジがあります。黄体化ホルモン(LH)に似た働きをもち、投与から約36~48時間の間に排卵が起こります。妊娠を継続させる黄体維持の働きもあり、胚移植後にも使われます。 
GnRH
アゴニスト
(GnRHa)
点鼻薬です。商品名はスプレキュア、ブセレリンなどです。指定された時間に噴霧することで排卵を促すことができます。
GnRH
アンタゴニスト
注射剤です。商品名にはセトロタイドやガニレストがあります。視床下部に働きかけて排卵の時期をコントロールするホルモン剤です。GnRHアゴニストと同じ目的で使用されますが、注射なので投与日数が少ないメリットがあります。

着床を助けるホルモン剤

胚移植に備えて子宮内膜を整えるため、卵胞ホルモン剤や黄体ホルモン剤が使われます。また、胚移植のあとは、受精卵の着床と着床維持を助ける目的で主に黄体ホルモン剤が使われます。
投与法には黄体ホルモン剤単独、卵胞ホルモン剤と黄体ホルモン剤の併用、卵胞ホルモン・黄体ホルモンの合剤などがあります。剤形も飲み薬、注射剤、貼り薬、腟座薬などさまざまあり、患者様の個人差や使いやすさ、ご希望によって選択します。

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)について

内服あるいは注射のホルモン剤で卵巣を刺激する過程で、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が発生することがあります。症状は卵巣腫大、腹水、胸水のほか、重症になると血液の濃縮、血栓の発生へと進むことがあります。
当院では、このような副作用が出ないように、排卵促進剤の種類や投与量に細心の注意をはらっており、ほとんど発生していません。しかし、個人差がありますので、万一、腹痛、おなかの張り、吐き気などがあるときは、必ず医師に申し出てください。
とくに重症の多嚢胞性卵巣症候群の方で、強いホルモン剤を使わないと排卵できない場合は、卵巣過剰刺激症候群が起こりやすいので注意が必要です。

PAGETOPへ