不妊治療の保険適用が4月1日より始まりました。
保険診療における適用内容が分かりにくく行政、医療機関、患者様すべてが混乱しています。保険で治療をどこまでできるかの線引きが不透明であり治療を標準化できればいいとする今回の政策は今後の治療結果を比べていくと患者様に期待できる利益とはならない可能性も指摘されています。
治療標準化の内容は年齢の若い人には治療のハードルが下がり経済的メリットがあるかもしれません。しかし、人の体はすべてが同じではありません。年齢を重ねると体のホルモンバランスが変化します。社会で仕事に就く方にとっては環境や精神的要素も関係します。標準化の内容では効果の判定が難しいと思います。神秘な生命の誕生には単一的な治療だけでは良い結果につながるとは思いません。
今までの不妊治療の成果は、積み重ねた治療の経験とたゆまない研究が多くの専門分野の人達によって進められてきたことからです。
研究の補助は一般の医療機関にはありません。特別な優遇もありません。
各医療機関の自助努力が不妊治療の発展に寄与してきたと思います。
また、今回の不妊保険適用にあたっては厚生労働省に提出する書類や患者様確認のために必要とする書類が今まで以上に多くなった点です。
現状は個人情報の保護を必要とする社会です。取り扱いには充分な注意を払い管理をしていきます。
不妊治療の保険適用によるデメリットを挙げるとすれば治療開始の安全と安心を確保できる仕組みが抜けていることです。
また、ご主人の治療参加を促しているにもかかわらず採精するご主人の便宜が抜けています。人工受精時に使用する精子の凍結ができないのは働いているご主人には不便です。
そして保険適用の診療に先進医療を加えた保険と自費との治療は7項目です。これから先はわかりませんが医療機関が衰退しないように願っています。
今、不妊治療の保険適用で医療機関に薬剤の供給不足が起きています。
不安の船出はまだまだ続くと思います。
不妊カウンセラー より